イッセー尾形ワークショップ参加始末(続き)

今日の日経電子版、映画エンタメガイドにワークショップの紹介の後編が掲載された。


先日書いたように、16日の初日は、途中をとばしてしまって、残念な結果となってしまった。翌17日は、前日の舞台の後の講評を生かし、いい舞台にしようと意気込んでいたのだ。朝からの舞台稽古では、もっと間をとることと、セリフのトーンを変えるようにと指示された。知らず知らずのうちに単調になっていたのだろう。


歳は食っていてもうぶな男の素朴感を強調してみようと、控室にもどってから、廊下にでて話し方をいろいろと変えてセリフをいってみる。控室の中では、森田氏がまだシーンの全体が決まっていない組にあれこれ指導しているが、それ以外の組も時間がおしいので、それぞれに廊下でリハーサルを繰り返している。私の「フィアンセ」も、もっと知的な雰囲気をだしてと、前の日と180度違ったことを言われ、とまどいつつも何回もひとりで練習している。


そうこうしているうちに、本番30分前となった。皆でそろって舞台にあがる。舞台真ん中におかれた、まわりより少し高くなった小舞台の両脇に、椅子をならべて全員が座る。順番がくるとその小舞台にあがって、それぞれのシーンを演ずることになるのだ。


本番まであと15分、お客さんが入り始めたというときに、どうしたことか、暑さがたまらなくなる。脂汗のようなものが出てくる。隣の「フィアンセ」に暑くないですかと聞くと、とくにそれほどでもないという。朝からちょっと体調がおかしく、腰とわき腹あたりに少し痛みがあったが、大したことはないと、特に気にとめていなかった。それがだんだんと耐えがたくなってきたのである。なんとか自分の出番だけでもこなせないかと、客席におりて、スタッフの方から水をもらい、空いた席でしばらく我慢していたが、痛みはひどくなる一方だ。これではセリフをいうどころではないと、ついにギブアップして、劇場をあとにしたのであった。


救急車を呼ぼうかとも言われたが、会社の事務所が近くなので、そこまで必死の思いで歩いて、冷房のない会議室のテーブルの上に半裸で寝転ぶこと1時間あまり。ようやく痛みがおさまり、なんとか家に帰れるまでに回復した。急な痛みの原因は、いまだにわからない。翌日には、何事もなかったかのように回復したので、医者にもいっていない。5年ほど前にも似たような症状に見舞われたことがあったが、暑さと疲れと冷房による急激な冷えが関係しているようだ。


上司に結婚を報告するはずの男が脱落したのだ。これは当然シーンカットだ。実際、森田氏の助手の方からは、そういう指示があったらしいのだが、二人は、本番直前の緊張の最も高まるときにもかかわらず、果敢にも、二人だけでやると宣言したという。日経エンタメガイドをご覧いただければわかるように『結果は、大成功』で『前日の発表を見ていなければ、これがもともと3人の芝居だったとは誰も気づかないほどの出来栄えに、事情を知る関係者も舌を巻いた』のである。


素晴らしい!!最後まであきらめないのは、やまとなでしこ魂ではなかろうか。この精神がなでしこジャパンに優勝をもたらしたのだ!!!


そんなことは、いえた義理ではないのである、ほんとうは。来週には、二人をご接待申し上げて、不始末をお詫びすることになっている。ただ、もしかして、逆に病気欠場を感謝されるかもしれないのである。それはそれで、ほっとするようで悲しくもあるのである。