自然とのかかわり(その2)

便利さを求めて、実に人間的な工夫を続けてきた結果、人間は、自然からどんどんと遠ざかり、どんどんと生活環境が非人間的になってきた。皮肉なことです。その最大の「成果」が、現代の都市ということでしょう。都市での便利な生活を求めて、人が集中していく。多すぎる人は、非人間的な環境を一層強化する。手つかずの自然では、生きていけない。人工物だけの環境では、生きている実感がない。何とかして、自然と人工のバランスをとっていかなければなりません。

一つの方向として、都市に自然を取り入れるということが試みられています。ヒートアイランド対策として、ビルの屋上の緑化や壁面の緑化が進められているようです。街路樹を多く植え、緑の多い公園を多く作る。自然を生かした川の「多自然型護岸」という試みもあるようです。もう一つには、過疎の進む地域の自然を残しつつ、便利さを高めようという方向。しかし、便利さを高めればそれだけ自然から遠ざかってしまうわけですから、それ自体で矛盾してしまうのではないか。

結局、どこかで不便さに耐えるということが必要になってくるのではないでしょうか。人間も自然の一部である以上、完全に人工的な環境では生きられない。そして、自然と付き合っていこうとするならば、どうしても不便さ、面倒さに耐えていくしかない。自然の一部でありながら、自然に手を加えて生きていく人間の宿命として受けいれていくしかないのでしょう。