奮闘する若者

再び若い女性の奮闘記を読みました*1。著者が、大学在学中の昨年10月から70日間、自ら売り込んだ企画に25社の企業の協賛を得て「タダで」世界を回った記録です。

あだなが「はあちゅう」ですと、いきなり脱力するような紹介があり、おつむは軽いが、腰も軽い女子大生のお気楽旅行記かと思ったのですが、大違い。読み進むにつれて、そのガッツに感服しました。まずは、企画書を作って、ありとあらゆるコネを使って、見ず知らずの企業をまわる行動力がすごい。さらに、協賛を得たかわりに科せられた旅行中のミッションの数が、150と半端ではない。週に2回のブログ更新や、土地の人との写真撮影、世界の雑貨や泊まったホテル全部の評価レポート、雑誌の原稿から、はては毎日の歩数記録、起床就寝時刻食事内容の記録等々。ケニアのサファリ途中やサハラ砂漠のホテルでも、停電に悩まされつつブログの更新を行うのです。

しかし、面白いことに、著者は、ずっと人見知りで人との距離感が上手くつかめなかったというではありませんか。大学で始めたブログの成功をきっかけに180度変わったそうですが、それでも『このたびを通して最後にまだ卵の薄皮ほど残っている自分の中の「ひとへのフィルター」を完璧に取り払ってみたかった』そうです。が、「世界一周中でも人間関係に悩んでしまうことが多かった」。「結局、環境を変えることは何の解決にもならなくて、変えたいものは自分だと気づく」のです。自分探しの旅に安易に出かけるやからには、是非読ませたいものです。

こう立て続けに2冊も若い人の奮闘記を読むと、近頃の若い者は、という言い方がとてもできなくなりますね。日本の未来は大丈夫か。それとも彼らは例外なのか。

*1:伊藤春香「わたしは、なぜタダで70日間世界一周できたのか?」