ipad がやってきた!

いよいよ日本上陸だ。販売店の前では、200人が列をなし、一番のりは2日前から並んでいたと言う。常軌を逸している。とは思うが、何日並ぼうが、当人にしてみれば余計なお世話だろう。他人に害を加えるわけではないから、とやかく言うことではない。ただただ、私の想像を超えているというだけだ。

2日前からということになると、本日中に手に入れるという合目的的な行動ではないはずだ。並ぶこと自体が目的なのだ。ipadという、スーパーにクールでファンタスティックなディバイスを手に入れる。その興奮の瞬間を如何に寿ぐか。祝祭にしなければならない。そのためには儀式が必要だ。生贄もほしい。2日間の行列という難行の末に、ipad祭の祭司たる孫司教の説教と握手による祝福が待っている。2日間のまっとうな睡眠と食事をあきらめた、自らが生贄なのだ。ITの神へ、そしてアップル神へ。これこそが祝祭である。

私は、先日触れたようにインターネットで注文して、これを書いているところに届いたばかり。とりあえず開けてみたが、操作はこれからだ。せっかく書き始めたのであるからと、書くことを優先させる。大人の対応である。冷静沈着だ。しかし、情熱も感じられない。

2日間も店頭で待つという「狂気」はない。その代わり、アップル神に自らを生贄としてささげたものだけが味わうであろう、恍惚感もまたないのである。常識的人間であることは、この世知辛い世を渡っていく上で、大いに都合がいい。しかし、結構つまらないものかも知れないのだ。