またも中国問題

中国の西安などで、反日デモがあり、四川省成都では、イトーヨーカ堂のガラスが割られたという。16日に東京の中国大使館前で行われた、尖閣諸島問題に対する抗議デモに呼応したものらしい。せっかく緊張が緩和の方向に向かっていたというのに、まことに残念である。


まず東京のデモだ。声高に叫んで中国に認めさせないと、尖閣諸島がとられてしまうと思っているとしたら、ずいぶんと大人げない。占有実態は日本にあるのだから、どっしりと構えていればよいのだ。デモをやったら、中国が謝罪の上、日本の領有を認めるとでも思っているのだろうか。


中国の感情的反発を呼び起こして、日本に何か利益があるかどうか、まともに考えたことがあるのだろうか。漁船や、さらには軍隊までも繰り出して、挑発してきたらどう対応するつもりだろう。「愛国心」に燃えている連中は、戦争も辞さずとでもいいかねないが、冗談ではない。南の小さな島々ごときで殺し合いなど、まっぴらごめん被る。


関係悪化は、両国にとって、大きな損失である。そもそもイトーヨーカ堂三越などがなぜ中国で営業しているのか。中国人が多数買い物をするからである。2004年にも対日感情は大いに悪化したが、日系小売店への客足は落ちなかったのではなかろうか。訪日中国人観光客については、統計を見れば、事実はあきらかだ。2004年の61.6万人が、2005年には65.3万人に増加し、2009年には、100万人を超えている。中国人の反日感情といっても、この程度のものなのだ。いま石を投げている連中も、興奮が収まったら、平気でイトーヨーカ堂に買い物に行くことだろう。


であれば、お互いに相手を刺激するのはやめるに限るのである。主張はまげないとしても、言いっぱなしにして、放っておけばよい。それができるのが大人の見識というものだろう。中国側も、すぐ暴力的になってしまうところが、日本以上に幼稚というべきだが、幼児化競争はいい加減にやめにしたほうがいいのである。