昨夜、ドーハで

出張で、昨日からドーハに来ている。


ドーハといえば、昨夜の日本ーシリア戦に興奮された方も多かったのではないだろうか。私は、高校以来のラグビーファンである。サッカーは、ほとんど無関心だ。さすがにワールドカップで日本代表が戦うとなると、話はちょっと違うが、今回はアジアカップである。全く関心がなかった。だから、出発間際同僚に、ドーハ到着の夜に日本ーシリア戦がある、これはぜひ見に行かないといけないときっぱりいわれても、でも日本時間の真夜中に始まって早朝まで続くわけですから、眠ってしまうんじゃないですか、とおざなりに答えるだけである。同僚氏は、そのような私の思惑なぞ全く意に介さず、関係先の現地駐在員に頼んで、チケットを手に入れたのであった。


ということで、昨晩、現地時間6時半ころ出かけると、スタジアムはまだほとんど空いている。指定の席に座ってしばらくすると、だんだんに埋まってくるのだが、どうも様子が変だ。シリアの国旗を振り回したり、シリアの国旗をつけた山高帽をかぶった連中ばかりだ。チケットを渡してくれた駐在員氏によれば、まわりは日本のサポーターばかりで、大いに盛り上がりますよということだったのだが。。。しかも、シリアサポーターの連中は、席の番号など全く意に介していないようなのだ。これは、もしかして間違ったかなと思っているうちに国歌斉唱となる。


見渡す限り日本人は、我々だけ。どうやら日本人サポーターは、ひとつかふたつ先のブロックに集結しているようだ。ここでまわりなど全く気にせず朗々と歌ったならば、日本男児の面目躍如といったところだが、サッカーファンといえば、乱闘騒ぎと相場が決まっている。特に今夜は、決勝トーナメント行きがかかった大事な一戦だ。なにされるかわからない。


さらに、ご存知のように、君が代は大変歌いにくい歌なのである。正直言って、スポーツゲームの前に歌うと気が滅入って来たりする。フランス国歌のようにやたら血なまぐさい歌詞(なんたって、フランス革命の歌ですから)でも、メロディの威勢がいいと盛り上がり方がちがう。というわけで、最初は、口の中でモゴモゴと、それから少しづつボリュームをあげて歌ったのであった。騒音に紛れて、周囲の連中は、全然聞いていないようで、ほっとしたというか残念というか。


試合が始まると、シリアの連中は、旗をふったり、太鼓叩いたり、サリア、サリアと大騒ぎだ。サリアって選手の名前?と思っていたら、どうやらシリアの現地語発音のようである。試合の経過は、ニュースでご存知の通り。


後半、ゴールキーパーが退場になったところは、シリアゴール近くの席でみていたから、遠過ぎて一体なにが起きたのか全くわからなかった。場内アナウンスもないし、場内の大画面でもリプレイをしてくれない。恐らく、リプレイを見て、観客が興奮するのを恐れたのだろう。逆に、逆転のペナルティーキックの前後はよく見えていたが、あれでペナルティーキックはちょっとやり過ぎじゃないかという印象である。日本のペナルティーと相殺といったところか。


結局日本がなんとか逃げ切って、小さくガッツポーズで締めたのだが、まわりのシリア人になぐられるどころか、おめでとうなどといってもらったり、こっちもいやあいいゲームでしたなあ、などと答えて握手したりと、シリア人もなかなか気のいい連中ですね。まわりにいた女の子たちも結構かわいかったし。


後で駐在員氏に聞いたら、席番など気にせず、日本人サポーター席に適当に座ればよかったのにとのこと。そうおっしゃいましても、秩序の国日本からきたばかりで、そのような現地事情は、とんと分かりませんです、はい。