ダボハゼが世界を救う

恐れていたことがついに起こった。この日が必ずくることは、分かっていたはずだ。しかし、いつおこるのか、しかとは分からないことをいいことに、安逸な生活をむさぼっている。そのうちに、確実にその日がやってきて、大きな衝撃を受けるのである。天災は忘れた頃にやってくる。


iPad2のことである。病気療養中のジョブズが、わざわざ病の身をおしての熱演である。33%も薄く、15%も軽くなったという。さらに、地図や衛星画像など細かい画像の表示が早いのだそうだ。結構なことですな。その他内蔵のあたらしいアプリのモロモロがあるそうだが、知りたくない。昼休みに、同僚に悔しい胸の内をうちあけたところ、「ダボハゼみたいにやたら新しいものに飛びつくからそういうことになるの」といたって冷たい返事である。それはその通り。


しかし、である。私のようなダボハゼがいるからこそ、人類の進歩と調和はあるのだ。仮に、大多数の消費者が冷静沈着、企業の販売戦略を見通した上で、最適な時期に最適な製品を買い求めるとしよう。当然iPad 1は見送るはずだ。なぜならば、できたての製品には、いろいろバグがつきものである。使用者の不満/要望をもとに改良したiPad2がいずれ発売されるはずだ。より高い性能で、おそらく値段は据え置きで。であれば、iPad 2を待てばよい。


ところが、大多数が買い控えをするということは、iPad 1が売れないということであるから、アップルは2を作る意欲をなくすのである。iPad 1は自信作であったのに、意外と売れなかった。この市場からは、撤退しようかな、となりかねない。つまり、ダボハゼが多数あって初めて、技術革新が促進され、一代目を見送った冷静沈着な消費者だけでなく、ダボハゼ軍団自身の利益にもなるのだ。


以前聞いたところによると、消費者におけるダボハゼ率の高いのは、断然日本とアメリカで、冷静沈着型消費者の多い欧州では、新製品がなかなか生まれないのだそうだ。ダボハゼ万歳だ。


といいつつ、インターネットを見ていたら、iPad 2のSmart Coverが風呂の蓋にしか見えないという指摘があった。まさにその通り。ザマーミロとちょっと安心(?)したのであった。