コレクターの眼で見る

覚悟を決めるなどと肩肘張って観たわけではなかったが、なかなか結構なコレクションだと感心したのである。氏の見る眼は、大したものだと思う。自分で同じものを買うかとなると、また別問題であるが、お金を出しても家に飾りたいという作品もいくつかあった。氏も「鑑賞者の眼」とはちょっと違った、「コレクターの眼」でアート体験をしてほしいと言っている。

この「コレクターの眼」、砕いて言えば、お金を出す価値があるかどうかを判断基準とするということは、一見「不純」に見える。お金で芸術の価値を計ることに抵抗を感ずる人もいるだろう。しかし、これは大事だと私も思う。自らのお金を使うかどうかを決めなければならないということで、その作品をどの程度価値のあるものと自分が思っているか、自らを問い詰めることになるのである。普通の買い物であっても、漫然とウインドウショッピングを楽しむ時と、買ってかえりたいと思う時では、その対象を見つめる、それこそ眼の色が違ってくるはずだ。

氏は、「若手作家に対しては作品を購入することが最高の支援」であり、ひいては、日本文化の底上げにも貢献したいとの思いがあったという。真に結構な志である。1,300は到底無理だが、2,3点くらいなら、うちの狭い家にも飾れるだろう。随分とささやかだけど、少しはまねしてみようかと、その気にさせられたのであった。