歌舞伎な午後 (承前)

床屋のオヤジからは、屋号の由来やら歌舞伎の家系などなど、次々と質問があった。質問があるということは、関心があるということで、歌舞伎ファンとしては、大変結構と思う次第である。結構ではあるが、知識から入るというのは、どうかとも思う。関心を持つ…

歌舞伎な午後

一昨日の午後、いつもの床屋にでかけた。かなり伸びてきたので、本当は、先週のうちに行っておきたかったのだが、なにかと用事があって、連休にずれ込んでしまったのだ。いつものように、あれこれ四方山話をしているうちに、どういうきっかけだったか、歌舞…

辺境人 その3

しつこく続きである。なぜこのように気になるかとつらつら考えるに、自分の存在価値を実感するために、世間の評判を気にしているオヤジ、といった風情が、いかにも情けないのだと気づいた。鏡に映しだされた自分を見ているようで、不愉快なのである。そもそ…

辺境人 その2

昨日のブログで、「言語や文化、生活習慣の壁を乗り越えながら、自分たちの強みを生かし、国際社会に貢献していく世界人」を目指すべしという意見について、つまるところ欧米文化のみを想定していると批判した。いささか気短に決め付けすぎであったという気…

世界を夢見る辺境人

4月から開始された、日経電子版に登録(無料の方)したところ投稿募集というメールが来た。『日本経済新聞社は5月、日本を2020年までに世界にとって「なくてはならない国」にするための具体的なアイデアを広く募り、世に問うための紙面「未来面」の掲載を4…

「成功は一日で捨て去れ」

今をときめくユニクロの創業者にして社長の柳井氏の本である。池田信夫氏が推奨しているので読んでみたのだが、やはりというべきか、あまり得るところはなかった。例えば、中国であれだけの品質の製品を作らせるのは、並大抵のことではない。その秘訣なら、…

がんばれ日本

自民党を離党した与謝野、平沼両氏が結成した新党が「たちあがれ日本」だという。ぱっとしない。あまり長続きしないんじゃないか。今の日本は、へたり込んでいるという認識なのだろう。新党を結成し、日本をふるいたたせようというわけだ。その心意気は、大…

巨人とおむつ

日経電子版を読んでいたら、「紙おむつの巨人ニーズ漏らさず」というタイトルが目を引いた。巨人は、昨年優勝、今年も優勝候補筆頭と快進撃である。週刊誌等を読むと、自前の選手育成が功を奏しているらしい。ひところは、他チームの4番バッターを金にあかせ…

「生命保険のカラクリ」*1を読む

生命保険会社が大いに儲けているということは、はじめて保険に入った30年前にすでに知っていたのだ。大手生保の社員の仕事は、セールスのおばちゃんの管理だけだとか、新入社員のボーナスが100万円を超えたとか、まことしやかに取りざたされていたものだ。そ…

ヤング@ハート公演

米国はマサチューセッツ州ノーサンプトンで1982年に生まれた、高齢者による合唱団「ヤング@ハート」の初来日公演である。今回のメンバーは25人、平均年齢79歳。2007年に制作された、彼らの活動を記録した映画「YOUNG@HEART」を見ていたので、そのパワーは分…

ナショナリズムとグローバリズム

今朝のニュース番組で、先週終わったバンクーバー冬季五輪にからんで、フィギュアスケート選手の国籍の問題が取り上げられていた。女子シングルの長洲未来は米国代表、アイスダンスのキャシー、クリスリード姉弟が日本代表、クリス姉弟の妹のアリソン・リード…

フィギュアスケートはスポーツか

バンクーバーオリンピックの女子フィギュアスケートが始まった。今日のショートプログラムでは、浅田真央が会心の演技で高得点を挙げたものの、韓国のキム・ヨナが過去最高点をあげて1位につけている。うれしいが残念である。両雄(?)が、ベストを尽くし、…

コレクターの眼で見る

覚悟を決めるなどと肩肘張って観たわけではなかったが、なかなか結構なコレクションだと感心したのである。氏の見る眼は、大したものだと思う。自分で同じものを買うかとなると、また別問題であるが、お金を出しても家に飾りたいという作品もいくつかあった…

自分の眼で見る

先週土曜、一風変わった美術展に行って来た。千駄ヶ谷の佐藤美術館の、山本冬彦コレクション展である。たまたま日経ネットで見つけて面白そうだと出かけたのだが、佐藤美術館も山本冬彦も始めて耳にする名前である*1。山本氏は、美術とは一切関係のない会社…

娘が口をきいてくれない

昨夜は大学時代の友人と久しぶりに酌み交わした。近くに住んでいながら、結構ご無沙汰していたのは、彼が中国に駐在していて、つい最近帰ってきたこともある。一緒に帰って最寄りの駅につくと、前を歩いていた若い女性が振り返って、友人に、あらお父さんと…

公平無私が問題

月曜に出張から帰る。出張の目的は会議である。バングラデシュ、日本、デンマーク、オランダが出資して現地で合弁会社を経営しているのだが、その取締役会に出席した。一昨年10月、東京で開かれた取締役会が始めてであったが、爾来、コミュニケーションの難…

バングラは寒い

遅ればせながら、あけましておめでとうございます。新年早々出張でダッカに来ている。2日前に到着して驚いたことには、とても寒い。現地の駐在員から、日本並みに寒いから注意するように聞いていたのだが、半信半疑であった。ダッカは暑いというイメージが確…

来年こそは

今年はどういう年であったか。年末にかけて、さまざまな問題が起こった。わずらわしい限りである。しかし、それでは年の前半、中盤は快調であったかというと、別に、なのである。結局大したことのない1年ということであろうか。それでも、一昨年の暮れは、休…

腹が減れば腹が立つ

まったく、今日も遅いのだ。何をやっておるのか。夕飯は遅くとも7時半までにしろといったはずだ。いや頼んだのだ。懇願したといっていい。いつになく低姿勢を貫いたのは、年の瀬であるし、息子も受験であるし、軋轢はできるだけ避けたかったのだ。にもかかわ…

絵画と音楽

文章は音楽である。とするならば、絵画も音楽であるはずだ。具象画がいわば散文であるとするならば、抽象画は、詩である。描かれたもの自体に意味はない。描かれたもの、その色や形の作り出す、リズムや感覚に意味がある。であるから、この絵は、こういった…

文章は音楽にのって

例の税金問題で名を馳せた茂木健一郎氏は、たまにテレビでみかけると、なんでもやたら脳に結びつけて、解説する。脳科学者であったのかもしれないが、今はテレビタレントに堕したかと思っていたが、ひょんなことから、「脳を活かす勉強法」というのを読んで…

自殺を考えてみる(つづき)

国際比較統計を見ると、色々な事実が目にとまります。日本の男性は、10番目ですが、その上の9カ国のうち、旧ソ連圏の国が7カ国を占めています*1。残り2カ国は、ハンガリー、スロベニアで、旧ソ連の影響下にあった東欧の国です。さらに、11〜31番目の間の21カ…

自殺を考えてみる

先週金曜の朝、駅に行ってみると、駅前は大混雑でした。どうやら人身事故のため、電車が運転をやめているようです。家を出る前に見たニュースでは、東西線の人身事故を伝えていたのですが、自分の乗る路線でも同時に起きるとは、思ってもいませんでした。こ…

雨の日で土曜日は

雨の日は、それだけで憂鬱なものだ。そしてそれが月曜となれば、なおさらだ。憂鬱の2層倍である。今日はしかし、月曜ではない。花の土曜日だ。お休みであり、朝から寝坊である。昨夜調子に乗っていささか飲みすぎたようだが、目覚めはさほど悪く無い。しかし…

バングラデシュの交通マナーはなぜ悪いのか

先週とある宴席で、以前バングラデシュ出張に一緒に行った人と、あの時の渋滞はひどかったという話になりました。どうしてああもバングラ人の運転は、無秩序なのだろう。バングラ人は、インド人に比べればよほど控えめな国民なのに、車を運転させると、譲る…

その後の事情

息子は、水曜日には熱も平熱にもどり、登校はできないものの、家で受験勉強中です。熱も38度を超えませんでした。私の方も、いまのところ何の兆候も無く、どうやら感染はまぬがれたようです。やれやれ。 そもそも、本当にインフルエンザだったのか、疑問です…

新型インフルエンザ襲来す

ついに恐れていた事態が起こってしまいました。昨日息子が熱をだし、今日医者に行ったところ、新型インフルエンザと判定されたのです。昨夜の段階では、熱が37度5分程度、高熱がインフルエンザの特徴と思い、タダの風邪と安心していたのですが。来年大学受験…

年の瀬は詐欺のお手並み

20XX年ももう暮れようというころのことである。一時しょうけつを極めたオレオレ詐欺も、警察の必死の捜査、なりふり構わぬ啓蒙運動*1によりようやく下火になろうとしていた。警察関係者がほっとしたのもつかの間、新たな事件が起こったのだった。「もしもー…

奮闘する若者

再び若い女性の奮闘記を読みました*1。著者が、大学在学中の昨年10月から70日間、自ら売り込んだ企画に25社の企業の協賛を得て「タダで」世界を回った記録です。あだなが「はあちゅう」ですと、いきなり脱力するような紹介があり、おつむは軽いが、腰も軽い…

噛まれても虎子をとる

バングラデシュという国をご存じでしょうか。たいていの人には、ほとんど縁がなく、貧しく人口だけは多い国といった印象なのでは。私の場合は、仕事の関係で毎年何度か出張で行き来しています。その貧しいバングラデシュで、バッグを生産して日本で販売して…